スウェーデンと日本の「女子力」の違いとは!?ヤンニ・オルソンさんインタビュー【音声付き】

3月8日は女性の権利と政治的・経済的分野への参加を盛り立てていくために国連が制定した「国際女性デー」です。女性の社会進出度や幸福度が高い国ランキングで常に上位に位置するスウェーデンから来日したヤンニ・オルソンさんに、ジェンダーに関するスウェーデンの政策や国民の意識などについてインタビューしました。

男性も育児に参加しやすい環境づくり

First of all, we have a law that is against discrimination between gender. That helps. The Swedish government has declared itself (a) feminist government. The government, the ministers, are about 50 percent women――the seats in Parliament, about 50 percent women. However, in business, mm, it’s still like the boardrooms are still male-dominated. It’s about 40 percent, something like that.

But the thing that Sweden do[does] well is, I guess this is a sensitive topic in Sweden, but parental leave. You know, we have 480 days paid parental leave in Sweden. Ninety of those days, the guy has to take――the husband. The Swedish government kind of forced men to help with raising kids. So I guess the thing that makes gender easier in Sweden is that since you have this parental leave, you get paid, women quicker get back to their jobs. And that’s kind of the big thing.

「何よりもまず、私たちにはジェンダーによる差別を禁止する法律があります。これは役に立っています。スウェーデン政府は自らを男女同権の政府であると宣言しました。政府、大臣の約50%が女性です――議席の約50%が女性です。ただビジネスの世界では、役員たちはまだ男性が優勢のようです。(女性は)40%かそのくらいです」

「でもスウェーデンがうまくやっていることは、スウェーデンで繊細な話題だとは思いますが、育児休暇です。スウェーデンでは(パートナーの男性と女性が合計で取得できる)480日間の有給の育児休暇があります。そのうちの90日間は男性が取る必要があります――夫がです。男性が子育ての一役を買うように、スウェーデン政府が推し進めたようなものです。スウェーデンで性差が緩和されているのは、こうした育児休暇があることで、給与が支払われ、女性が仕事に早く復帰できるからだと思います。これはとても大きなことです」

スウェーデンの誰もを平等に扱う文化

Equality is so important in Sweden. When I come here to Japan, I know it’s manners and it’s Japanese culture, but I can still get offended sometime if someone wants to pay for me. I want to split the bill as a . . .

For instance, the guys are so nice, they want to carry your bag. I’m, like, “Give back my bag!” It’s like, as a Swedish woman, it can be offensive.

So I think it’s become a quite deep part into Swedish culture about both children and adults treating people equally――not making, treating someone like they are weaker than the other one. But I can’t say everyone for sure . I’ve been living here for like, seven, eight years now. So, it’s hard to tell.

「スウェーデンでは平等であることがとても重視されます。私はここ日本に来て、それが礼儀で日本の文化だということは分かっていますが、誰かが私におごろうとするときはいまだに嫌な気分になることがあります。私は割り勘にしてほしいですし・・・」

「例えば、男性がとても親切であなたのバッグを持ってくれようとします。そうすると私は『バッグを返して!』という感じになってしまいます。スウェーデン人女性にとってそれは、いらいらすることになる可能性もあります」

「つまり、子供も大人も人を平等に扱うこと――誰かを他の人より弱いものとして扱わないことが、スウェーデンの文化のかなり深いところに根付いているんだと思います。ただ誰もがそうであるとは断言できません。もうここ日本で暮らして7、8年になります。だからはっきりしたことは分かりません」

スウェーデンと日本の「女子力」の違い

I think, like, in Japan and Sweden “jyoshiryoku”――what would you call that in English? It’s, means different things in Sweden. In Sweden, it would mean rather, I guess personally, a strong, independent woman.

In Japan, it feels like people all want you to be a little bit more caring. A little bit, care about, more about your looks. Be a little bit more mild-tempered.

In Sweden, CrossFit women, like really bulky women, are really popular at the moment. So, like, even the taste is quite different in the two countries.

「私が思うに、日本とスウェーデンの女子力――英語ではなんと呼ぶのでしょうか?それはスウェーデンでは違うものを意味します。スウェーデンでは女子力とはむしろ、自立した強い女性を指すものだと個人的には思います」

「日本では、誰もが女性にもう少し気遣いができるようになることを求めているように感じます。もう少し、自分の外見にもっと気を配ることとか。もうちょっと温和な性格になることとか」

「スウェーデンでは、クロスフィットで鍛えている女性、とても体格の良い女性が今は本当に人気があります。好みについてさえ、二つの国でかなり違いがあるようです」

異国の地で活躍するヤンニさんの将来の夢

My closest dream is I want to have a(n) outdoor- related TV show――like hosting my own TV show. And kind of, you know, the nature that people haven’t seen yet.

I travel all around Japan and people always go to the same places. Every time. They always go to the, Kyoto and they see the temples. And they always go to Akihabara. You know, they always do the same stuff, but there’s so much more to Japan and if I can show that in a TV show, that would be amazing.

「一番近い将来の夢は、アウトドアに関連するテレビ番組を持つことです――自分のテレビ番組の司会をするとか。今まで人が目にしたことのないような自然など(を紹介する番組です)」

「私は日本中を旅行しますが、人々はいつも同じ場所に行きます。毎回ね。誰もが京都に行ってお寺を見ます。誰もが秋葉原に行きます。彼らはいつも同じことをしますが、日本にはそれ以上のものがあるので、それを私がテレビ番組で紹介できれば、素晴らしいことでしょう」

皆さんの人生の優先順位リストは?

EJ2022年3月号では、ヤンニさんへのインタビューを6ページにわたって紹介しています。今回紹介したジェンダーに関すること以外に、ヤンニさんが日本滞在を決めた理由やスウェーデンに似た日本の大好きな場所、日本人とスウェーデン人の優先順位の違い、海外で活躍したい人へのアドバイスなど内容盛りだくさんです。

Janni Olsson(ヤンニ・オルソン)
Janni Olsson(ヤンニ・オルソン)

俳優、タレント、モデル、リポーター、アウトドア・コラムニスト。スウェーデン出身。幼い頃から自然を愛し、今では「スウェーデンのアウトドアガール」のニックネームで日本のアウトドア業界で活躍するに至る。リポーターとして「NHKワールド」にレギュラー出演中。トレジャーハンターのアレナ役として出演したドラマシリーズ「The Benza」(Amazon Prime Videoで配信中)では、海外の映画祭で助演女優賞を受賞。さまざまな分野で北欧と日本の懸け橋となるべく奮闘しており、その活躍は世界中で見られる。Instagram:@ janni_olsson

取材:知夏七未 翻訳:片桐恵里 写真:山本高裕(編集部、1~3枚目)

『ENGLISH JOURNAL BOOK 2』発売。テーマは「テクノロジー」

現在、ChatGPTをはじめとする生成AIが驚異的な成長を見せていますが、EJは、PCの黎明れいめい期からITの隆盛期まで、その進化を伝えてきました。EJに掲載されたパイオニアたちの言葉を通して、テクノロジーの歴史と現在、そして、未来に目を向けましょう。

日本人インタビューにはメディアアーティストの落合陽一さんが登場し、デジタルの時代に生きる英語学習者にメッセージを届けます。伝説の作家カート・ヴォネガットのスピーチ(柴田元幸訳)、ノーベル生理学・医学賞受賞のカタリン・カリコ、そして、『GRIT グリット やり抜く力』のアンジェラ・ダックワースとインタビューも充実。どうぞお聴き逃しなく!

【特集】PC、IT、そして、ChatGPT・・・パイオニアたちの英語で見聞する、テクノロジーの現在・過去・未来
【国境なきニッポン人】落合陽一(メディアアーティスト)
【スピーチ&インタビュー】カート・ヴォネガット(作家/柴田元幸訳)、ケヴィン・ケリー(『WIRED』創刊編集長、未来学者)、レイ・カーツワイル(発明家、思想家、未来学者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア創設者)、アンジェラ・ダックワース(心理学者、大学教授)、【エッセイ】佐藤良明

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